地政学という羅針盤「日本のために日本を出る」

「地政学」についてお話しする機会がありました。
あまり聞きなれない言葉かもしれませんが、簡単に言えば「国の地理や位置関係が、人やお金、ルールの流れを大きく左右する」という考え方です。
海外で事業を行う経営者にとって、地政学は未来を読み解くための羅針盤のようなものです。
- どこに投資すべきか
- どの市場に人が集まるのか
- どの地域にリスクが潜んでいるのか
これらを見極めるために欠かせない視点を与えてくれるのです。
ドバイとWAOJE

今回私は、ドバイで開催されたWAOJE(海外起業家ネットワーク)主催の「グローバルベンチャーフォーラム」に参加しました。
世界中から350名を超える日本人経営者が集まり、学び合い、情報交換を行う貴重な場です。
WAOJEの理念は「日本のために日本を出る」です。私はそこまで大きなことは言えませんが、それでも「少しでも日本の役に立つなら」という思いを胸に、地政学についてお話しさせていただきました。
WAOJEのメンバーはそれぞれ違った国でビジネスをしていますが、地政学的な考え方は、どこの国でも使えるからです。
学びと実践
私はこれまで何度も、田村耕太郎先生がシンガポールやサンディエゴで開催する地政学セッションに参加してきました。
地政学と聞くと「戦争や外交の話」と思う人も多いかもしれません。
しかし本質はもっとシンプルで「地理が人類の運命を形づくる」という事実にあります。
今回の講演では、田村先生から学んだ知識に、私自身の体験を重ねてお話ししました。
地政学の基本視点
地政学を理解する上で大切なのは、次のような問いです。
- その国は海洋国家なのか、大陸国家なのか
- 歴史的背景はどうか
- 自然環境はどうなのか
- 資源の分布はどうなっているか
- 周囲に大国があるかどうか
例えばアメリカは、東西を大海に囲まれ、北と南は同盟国のカナダとメキシコ。侵略の心配がほとんどない「安定した国家」です。
一方で、ロシアや中国は複数の国と国境を接し、歴史的に常に外敵の脅威にさらされてきました。
ホワイトハウスにいるトランプ大統領が考えるウクライナと、クレムリンにいるプーチン大統領が考えるウクライナはまるで違う国なのです。戦争を簡単に終わらせられると言っていたトランプ大統領が苦戦しているのもそのためだと思います。
ロシアとウクライナの戦争以外でも、各国のリーダーの意思決定が大きく異なるのは、こうした地政学的条件が根本的に違うからなのです。
だからこそ海外でビジネスをする際、日本の常識だけでは理解できないことが数多く出てきます。その国の状況を正しく掴むには、地政学の視点が不可欠です。
なぜセブ島だったのか
私がフィリピン・セブ島に英会話学校をつくった理由も、まさに地政学的な判断からでした。
安い人件費だけが注目されますが、本質は別なのです。
- アジア各国と日本の中間にある
- アメリカの植民地時代があり英語が公用語
- 自然豊かな観光地
- 親日でホスピタリティがある国民性
- 海に囲まれ、治安が安定している
これらが揃い、英会話ビジネスの拠点として理想的な条件を備えていました。
私にとって地政学は「Googleマップ」のような存在です。地図がなければ迷子になるように、地政学を知らなければ投資や市場選びで迷ってしまいます。
学ぶことで「未来の人とお金の流れ」を読み解けるのです。
10年の学びと成果

私は地政学を学び始めて10年になります。毎回1週間の集中講義に参加するのは簡単ではありませんが、その学びが大きな成長を生みました。
この10年でQQEnglishは10倍以上に拡大し、今では3,000名を超える教師、9ヶ国の拠点、40ヶ国以上の生徒を抱えるまでになりました。
地政学は、まさに「海外で活躍するための必須の学問」であると実感しています。
世界の扉を開く人へ

地政学はあくまで羅針盤にすぎません。
地図があっても、それをどう活かすかは私たち次第です。未来を切り拓くのは、知識そのものではなく、一人ひとりの行動なのです。
私がQQEnglishを始めたときも、未来の姿がはっきり見えていたわけではありません。
ただ「英語を使って世界の扉を開きたい」という思いに従い、一歩を踏み出しました。その結果が、今の会社の成長につながったのです。
QQEnglishのミッションは「To Be the Gateway to the World」です。
私は、一人でも多くの人に英語を使って世界の扉を開いていただきたいと思っています。
一歩踏み出したあとは、地政学と言う未来地図をもって「日本のために日本を出る」精神で挑戦してください。
こんなにワクワクする世界を見ずに人生を終えるのは、もったいなすぎます。