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2022.11.02

アメリカの物価高と日本の行く末 後編

アメリカの物価高と日本の行く末

前回はアメリカにあるカリフォルニア大学サンディエゴ校にて地政学のプログラムを受講したことにふれながら、実感したままのアメリカの物価高について紹介しました。

前回の記事はこちら
アメリカの物価高と日本の行く末 前編

その続きとして今回は、アメリカをはじめとする先進各国と日本の間で現在生じている物価差から日本の行く末について思いを馳せるとともに、英語力を身につけることの意味が、ますます重くなっている現実について考えてみます。

先日の日経新聞に、「Amazon、米物流施設の平均初任給6%上げ 時給2740円」と題する記事が掲載されていました。
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN2912U0Z20C22A9000000/
アマゾン・ドット・コムは、言わずと知れた米ネット通販最大手です。記事のなかでは、そのアマゾンが物流施設などで働く従業員らの平均初任給を10月から約6%引き上げ、時給19ドル(約2740円)超にすると発表したことが報じられていました。

日本では正社員の収入を年収で表すことが一般的なため、時給換算だと、その違いを実感しにくい面があります。

そこで「令和2年版 厚生労働白書」を見てみると、2019年の一般労働者(正社員・正職員)の平均時給は1,939円とのことです。

最新のデータではないものの、アマゾンの時給2740円はあくまで初任給であることを加味すると、日本の平均時給との差は明らかです。

アマゾンが従業員の初任給を引き上げたのは、なにも自社の業績が特別に良好だったからではありません。

アメリカでは労働市場への需要が高いにもかかわらず、供給が追いつかない状況が続いています。そこでアマゾンは賃金を引き上げることにより、人材採用を他社よりも優位に進めようとしたのです。

アマゾンはアメリカ国内だけで100万人前後の従業員を抱えています。今回の初任給引き上げにより、今後1年間で人件費は10億ドル近く増えると予想されています。

これにともないアマゾンでは、会員制サービス「プライム」の年会費を賃金や物流費の上昇などを理由に17%引き上げると発表しています。

これは、人件費の引き上げがサービスの価格を引き上げる典型的な例といえるでしょう。

こうしたことはもちろん、アマゾンだけに起きている現象ではありません。労働市場から優秀な人材を確保するために、アメリカでは多くの企業が人件費のかさ上げに動いています。

その結果として、人件費の上昇がさまざまな物品やサービスの価格引き上げをもたらしています。

今回、私が渡米して感じた物価高には、このような背景が潜んでいたのです。

一方、ここ30年ほどの日本の平均賃金の推移を眺めてみると、残念ながら悲惨の一語に尽きます。

OECD(経済協力開発機構)が先進各国の実質賃金をまとめた図表は、新聞や雑誌にも度々掲載されているため、目にしたことがある方も多いことと思います。

実質賃金の算出方法について説明すると長くなってしまうため、ここでは詳細を省きますが、簡単にいえば、各国の物価の違いを考慮したうえでの賃金です。

OECDの図表によると、アメリカ・カナダ・ドイツ・イギリス・フランスなどが順調に右肩上がりの線を描いているのに対して、日本はほぼ横ばいが続いています。

つまり、日本人の実質賃金は、バブル崩壊以降の30年の間、まったくと言ってよいほど上がっていないのです。

2015年には韓国にも追い抜かれ、その差は年々大きくなる一方です。
(出典:朝日新聞デジタル

日本は世界第3位の経済大国のはずなのに、先進国のなかで比べると、賃金は最低レベルなのです。

この悲惨な事実は、物価にも影響しています。OECDが1980年を基準値100としたGDPデフレータ(物価動向を示すための指標のひとつ)の推移をまとめた図表がありますが、それによるとアメリカは2.6倍に対して、日本は1.1倍程度に過ぎません。
(出典:『本当に日本は「デフレ」なのか、「物価」から見る日本の「実質的経済」の実力』

日本以外の世界各国は年を追うごとに物価が上昇しているのに対し、日本だけは40年近くも物価がほとんど変わっていません。

現在、世界的に見て日本は賃金も物価も長年にわたって上がらないという極めて異質な国になっているのです。

日本にやって来た多くの外国人は、日本の物価があまりに安いことにうれしい悲鳴を上げています。

こうした事実と、今回、私がアメリカで実感した物価高を重ね合わせてみると、今後の日本の行く末が心配でなりません。

人口減少と高齢化が進む日本は、これからさらに貧しく小さく老いていくのではないでしょうか。

私は発展途上のフィリピンに住んでいるため、特にそのように感じるのかもしれません。

そうなると、近い将来の日本人も現在のフィリピン人のように、海外で「出稼ぎ」をする人が増えてくるような気がします。

発展途上の国の国民が、仕事と高い賃金を求め、豊かな国へと稼ぎにいくわけです。

現在の日本で「きつい」「汚い」「危険」な労働、いわゆる3kを外国人労働者が支えているように、これからはアメリカ人がやりたがらない辛い仕事やきつい仕事を日本人が引き受け、アメリカ人よりも安い給料で働き、日本に細々と仕送りをする日が来るかもしれません。

その日が来るのは、まだまだ先だと思いますが、このままではもはや避けられない将来にも思えてきます。

実際のところ、日本はそのような過去を経験しています。明治から昭和16年 (1941年) にかけて、日本では出稼ぎを目的に776,000人余りが海外に移民しています。

フィリピンにも多くの出稼ぎ労働者が日本からやって来ました。当時のフィリピンはアメリカの植民地であり、道路建設などに従事することで、日本よりも高い賃金が支給されたからです。

果たして歴史は繰り返すのでしょうか?

日本の行く末について悲観的な材料が多いことはたしかです。しかし、これから苦難の時代を迎えるからこそ、英語という魔法の杖があれば、どれだけ心強いことでしょうか。

沈み行く船に身を任せずとも、英語があれば世界のどこでも活路を切り開くことができます。英語さえできれば、海外に出ることも自由にできるでしょうし、日本に居ながらにしてネットを使って世界を相手にビジネスを仕掛けることもできます。

このような時代だからこそ、英語を身につけることの重要性は、ますます大きくなっているといえるでしょう。

oxymoron(オクシモロン)という考え方

今回の記事の結びとして、カリフォルニア大学サンディエゴ校で習った【oxymoron】(オクシモロン)という考え方を紹介しますね。

「オクシモロン」という単語は、日本では「公然の秘密」や「小さな巨人」などのように、意味が矛盾している言葉を並べることで言い回しに効果を与える修辞法として知られていますが、実は思考法のひとつとしても応用することができます。

世の中は矛盾する二つのことが同時に起きる、という考え方です。たとえば円安です。円安には物価が上がる悪い面もあれば、外国人観光客が増えることで経済が活性化するという良い面もあります。

日本の人口が減ることにも、良い面と悪い面があると思います。つまり何事も、1つの面だけを見るのではなく、両面で見ることが大切なのだと教わったのです。

ですから、「オクシモロン」の視点から考察するならば、現在進行している円安にしても、日本の将来が不安だと嘆くばかりではなく、別の見方をする必要があります。

もしかすると、円安が進むことで海外に行く日本人が減ったり、外国に関心を持つ日本人が少なくなることは、チャンスなのかもしれません。なぜなら、海外に出てまでビジネスをする人が減ることで、ライバルが少なくなるからです。

私が海外でビジネスをしていて常に感じるのは、「日本人の最大のライバルは日本人である」ということです。

日本人同士の場合、海外でビジネスを展開する際に、同じような考え方をして、同じような行動に走ることが、どうしても多くなります。その結果、やることなすことで競合し、うまくいかないことが多いのです。

しかし、円安によって日本人のライバルが減るのであれば好都合です。外国人では気づきにくい日本人特有の新しいアイデアを思いついたとき、同じことをする日本人がいなければ、市場を独占できるかもしれません。

英語を話せる日本人が少なければ、それだけビジネスチャンスが膨れ上がることになります。

このようにオクシモロンを意識することで、多面的なものの見方が身につきます。ぜひ取り入れて、実行してみてくださいね。

私たちはラッキーだと思います。なぜなら、自分の力で人生をどうにでもできるからです。考え方ひとつで、人生は大きく変わってきます。

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「世界へ羽ばたく人」とは、海外に出て働く人だけを指すわけではありません。日本にいて海外から来る人と仕事をする人や、ネットを使うことで世界と繋がって仕事をする人も、世界へ羽ばたく人です。

世界と決定的な差ができてしまう前に、皆さんにはぜひとも英語を学んでいただき、新しいチャンスを見つけてほしいと願うばかりです。