地元のカニ漁師が教える美味しい上海ガニの見分け方と食べ方

「To be the gateway to the world」がQQEnglishのミッションです。
今回、上海にいくことがあったので、体験談をご紹介させてください。英語が話せるようになると世界が広がります。
私が上海オフィスに行くのは、秋と決めています。なぜなら、上海ガニが一番おいしくなる季節だからです。
海の王様タラバやズワイに比べると小ぶりですが、ひと口の密度と香りは別格です。
甲羅を開けた瞬間に立ちのぼる甘い香り、舌にねっとり絡むミソ、そして脚の付け根の“肩肉”の上品な甘さ。これを知ってしまうと、秋に上海へ行かずにはいられません。
上海ガニは9月から美味しくなってくるのですが、はじめはメスが旬になり、蟹黄すなわち卵が濃厚になります。
その後、気温が下がってくる11月から12月までがオスのカニのシーズンになり、蟹膏すなわち白子がねっとりして美味しくなります。
私はカニみそと言われる蟹黄と蟹膏が大好きで、紹興酒と一緒に食べるのを楽しみにしています。
今日は上海ガニが美味しい理由や、美味しいカニの見分け方、さらに美味しいカニの食べ方など、上海ガニについて詳しくお話ししますね。

世界的に有名な“Shanghai crab”ですが、上海の人に上海ガニといっても誰もわかりません。
中国では大闸蟹(ダーザーシエ)と呼ばれるカニで、中国のどこにでもいる淡水のカニです。揚子江下流でたくさん獲れ、上海から出荷されたので日本では上海ガニとして広まりました。
しかし、どの上海ガニ、すなわち大闸蟹でも同じ味かといえばまったく違います。
一番有名な大闸蟹は、上海から100キロほど離れた蘇州の陽澄湖のカニです。陽澄湖のカニはブランドになっていて、値段が、、、いえ、味もまったく違います。
上海市内でも陽澄湖のカニは食べられるのですが、産地で直接選んで食べるのがイキな食べ方です。
陽澄湖の湖畔には大闸蟹を専門に扱っているレストランがたくさんあるので、先ずは私のおすすめのお店をご紹介します。
お店を探すとき、カニの味にこだわって食べるのか、カニ以外の料理も楽しむのかで選ぶ店が変わってきます。
今回は美味しいカニを食べるのが目的なので、カニの美味しいレストランをご紹介します。
カニ漁師が直接やっている「養蟹人家」というお店です。「養蟹人家」とはカニを養殖している家族という意味です。

この地域に200件以上のレストランがあるのですが、実際にカニを養殖している人がやっているお店は数件しかありません。
今日はその中でも一番の老舗、高さんがやっているお店に行きました。

高さんは陽澄湖で一番初めにカニの養殖をしたグループの一人で、1992年からカニの養殖をやっています。なんと、陽澄湖に1万5千㎡の養殖場を持っていて、毎年2500㎏のカニを出荷しているのです。
高さんに陽澄湖の大闸蟹(ダーザーシエ)についていろいろお聞きしたのでお話しさせてください。まさに、ググっても、ChatGPTに聞いても出てこない情報です。
なぜ陽澄湖の大闸蟹(ダーザーシエ)が美味しいのか
陽澄湖は水質がきれいで、水深が浅いので湖底まで日が入ります。さらに、湖の底が泥ではなく砂利になっていることが美味しさの秘訣だそうです。
水質がきれいに保たれる理由でもありますが、カニが岩場を歩き回ることで筋肉がつき、余分な水分が抜け、味が凝縮するのです。
水質の良い湖で、日光を浴びて、歩き回るので陽澄湖のカニは肉付きがよく、濃厚な味になると仰っていました。
美味しいカニのサイズについて
大きいカニと小さいカニなら、大きいカニの方が各部位の厚みが増し、香りもでて美味しいそうです。
しかし、大きいカニなら何でもいいのかと言ったら違います。大きさだけでなく肉付きのよい、美味しいカニを選ばなくてはならないのです。
さらに言えば、肉付きだけなら重さを量ればいいのですが、それだと美味しいかどうかわかりません。
肉付きの良い、太っただけのカニではなく、筋肉がしっかりついた美味しいカニを見分ける必要があるのです。
筋肉がついた美味しいカニの見分け方

見分けるコツはカニの裏側にあります。カニをひっくり返し、おなかの三角の部分を見るのです。
おなかが平坦だと筋肉がついていない、やせたカニです。
三角の上部の部分が凹んでいる、すなわち、三角の周りの部分がぷくりと膨らんでいるカニが、筋肉がしっかりついた美味しいカニなのです。
カニを選ぶことができるなら是非カニをひっくり返してみてください。
陽澄湖のカニがどんどん美味しくなる理由
意外かもしれませんが、陽澄湖の養殖家は陽澄湖産同士だけで掛け合わせ続けることをしません。同じ血統だけだと世代を重ねるうちに痩せやすくなるため、他湖の健全な個体を計画的に導入しているのです。
美味しい大闸蟹(ダーザーシエ)になるのは陽澄湖の水と環境が重要ですが、それ以外にも手間暇をかけてブランドを守っています。
高さんの悩み
一番の問題は、カニ漁師のなり手がいないことです。どんどんカニ漁師が減っていて、高さんも、昔の仲間が手放したカニ農園を引き継いで養殖しているそうです。
決して楽な作業ではないうえ、天候や景気に左右されるカニ農家を若者は敬遠しています。
陽澄湖のある蘇州の若者は上海に出稼ぎに行ってしまうそうです。
高さんがカニについて熱く語る目が、少し悲しそうに見えてしまいました。
上海カニの問題点
今、陽澄湖で取れる本物の大闸蟹(ダーザーシエ)が減っています。しかし、世界中で販売されている陽澄湖のガニはどんどん増えています。
悪徳業者が、よその湖で取れたカニを持ってきて、少し陽澄湖の水につけて、陽澄湖のカニとして売っている偽物が増えているからです。
高さんたちは組合を作り、本当に陽澄湖で育てたカニに投資番号付きのタグを付けて管理をしていますが、根本的な解決になっていないそうです。
陽澄湖のカニの値段
カニの値段は大きさによって違います。陽澄湖のレストラン価格で小さいカニ(150グラム)が一匹1000円前後で、大きいカニ(300グラム)が2500円前後です。
上海のレストランで食べる値段と比べると半額以下の値段で、間違いのない本物の陽澄湖の大闸蟹(ダーザーシエ)が食べられます。
上海ガニのゆで方
- 下準備:必ず生き蟹。甲羅をたわしで丁寧に洗い、脚が暴れてミソが流れないよう軽く十字に縛る。
- 香りづけ:蒸し湯をぐらぐら沸騰させ、薄切り生姜・葱の青い部分・紹興酒少々。
- 配置:腹(白い面)を上に。ミソ・黄(卵)・膏(白子)が流れにくい。
- 時間:中〜大で15〜20分が目安。甲羅が鮮やかな橙に変わり甘い香りが立てばOK。火を止めて1〜2分余熱。
- 休ませる:取り出してさらに2〜3分。ここを我慢すると身が締まり、切っても崩れません。
上海ガニの食べ方(手順)
- 腹甲(お腹の三角フタ)を外し、中の身を吸います。
- 脚とツメをひねって外し、後で食べる用に横へ置きます。
- 腹側から甲羅をパカッと外します。
- 甲羅の内側にあるオレンジ色(メスは卵=蟹黄、オスは白子)の部分とミソを混ぜます。
- カニミソは黒酢と生姜をかけてスプーンで食べます。私は紹興酒も加えます。
- 体の左右にある白いフワフワ(エラ=鰓)は食べないで取り除きます。
- 胴体を半分をさらに食べやすく割って、身をほぐして食べます。
- 脚は関節で降り細い方の端からピックで押し出すか、歯で噛むとスルッと取れます。
- ツメは割って塊の身をピックでかき出しながら食べます。
相性の良い酒とサイド
定番は常温〜ぬる燗の紹興酒。辛口を合わせるとミソの甘みが際立ちます。
アルコールが苦手な方は生姜湯や熱い烏龍茶でも楽しめます。箸休めは青菜の塩炒めや蒸し豆腐の薄塩、主役の香りを邪魔しない脇役がベストです。
最後に
今回のブログは英語学習から離れてしまいましたが、「Gateway to the world」は感じて頂けたのではないでしょうか?
世界には日本にいたら一生わからない、素敵な場所、美味しい食べ物、ワクワクするものがたくさんあります。是非、日本から一歩出てみてください。
英語が話せるようになると人生が変わります。
↓上海カニの食べ方を解説しています。

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