フィリピン地震対策|リスクと滞在中に必要な準備と行動

フィリピンへ渡航を考えるにあたり、自然災害への備えは重要なものの一つです。
フィリピンは日本と同じく地震の多い国であり、過去には大規模な地震も発生しています。
しかし、正しい知識と備えがあれば、必要以上に恐れる必要はありません。
この記事では、フィリピンの地震リスクや、渡航前・滞在中に知っておくべき具体的な対策を徹底解説します。
フィリピンで地震が多い理由
フィリピンで地震が多い理由は、フィリピンの地理的な位置に深く関係しています。
まずは、フィリピンと地震の関係について、基本的な知識として解説します。
環太平洋地震帯(Ring of Fire)
フィリピンが地震発生の多い国である一番の理由は、「環太平洋地震帯(Ring of Fire)」に位置しているからです。
この地帯は、地球上で最も地震や火山活動が活発です。
太平洋プレートやフィリピン海プレート、ユーラシアプレートなど、複数の巨大なプレートの境界線に沿っています。
フィリピンは、このプレートのぶつかり合う場所にあり、常に地殻変動が起きているため、地震が頻繁に発生します。
過去の主な大規模地震の事例
フィリピンでは、M7.0を超えるような大きな地震も過去に何度も発生しています。
以下に、近年起きた主な地震の例を挙げます。
2013年ボホール地震(M7.2)
セブ島の隣にあるボホール島を震源とする大規模な地震で、セブ島でも大きな揺れが発生しました。
この地震で、多くの歴史的建造物が倒壊し、広範囲で停電や断水が発生しました。
2019年ミンダナオ地震(M6.6)
フィリピン南部のミンダナオ島で発生した地震で、建物倒壊や土砂崩れなどの被害が出ました。
これらの事例からもわかるように、地震はいつどこで起こるか予測ができません。
しかし、フィリピンでの地震発生は日本と同様珍しいことではなく、常に備えが必要な自然災害であると理解しておくことが大切です。
セブ島・マニラなど主要都市の地震リスク
フィリピン全体で地震のリスクがありますが、観光や留学の中心地であるセブ島やルソン島のマニラでは、それぞれ異なるリスクが存在します。
そのため、渡航先や滞在先の特性を理解しておくことで、より具体的な備えができます。
セブ島のリスク
セブ島は、島自体に大規模な活断層があるわけではないため、震源地になる可能性は比較的低いとされています。
しかし、セブ島のすぐ西側にはネグロス島とセブ島の間を走る「カンラオン断層」や、東側のフィリピン海溝が沈み込む「フィリピン海プレート」などがあり、これらの地殻変動により大規模地震が発生する可能性があります。
過去にも、ボホール島で起きたM7.2の大地震では、セブ島でも強い揺れが観測され、多くの人がパニックに陥りました。
また、セブ(マクタン島)には海沿いにリゾートホテルが多くあるため、万が一の際には津波のリスクも考慮しておく必要があります。
マニラのリスク
首都マニラでは、セブ島とは異なるリスクがあります。
マニラ首都圏と周辺を南北に走る「ウエスト・バレー断層(West Valley Fault)」という活断層が約100kmにわたって存在しており、この断層が動くと、M7クラスの巨大地震が発生する可能性が指摘されています。
マニラには高層ビルや商業施設が集まっているため、建物の倒壊や火災など、大規模な都市型災害につながるリスクがあります。
建物の耐震性
フィリピンの建物の耐震基準は、日本ほど厳格ではありません。
古い建物も多く、これらの建物の耐震補強は十分ではない場合があります。
しかし、近年建設された新しいコンドミニアムやホテルは、より厳格な基準で建てられており、比較的耐震性も高いとされています。
そのため、滞在先を選ぶ場合には、留学や現地就職、移住など長期滞在する場合は特に、新しい建物であるかどうかも確認すると良いかもしれません。
【渡航前】地震に備えて準備しておくべきこと
地震はいつ起こるか予測できません。
そのため、台風のようにある程度予測ができる災害とは違い、渡航準備として本格的な準備をすることはあまりないでしょう。
ですが、万が一に備えて事前に準備をしておくことで、いざという時に慌てることなく落ち着いて行動できます。
ここでは、渡航前に確認しておきたい準備リストをご紹介します。
地震に役立つ持ち物の準備
本格的な非常用持ち出し袋を準備することは難しいかもしれませんが、旅行準備の延長線上で、また普段の持ち物に少し加えるだけで、災害時に役立つものがいくつかあります。
動きやすい服装と靴
セブ島などリゾート地に行く場合、特に女性はサンダルやワンピースなど、リゾート向けの服装のみ準備するかもしれません。
しかし、地震発生時の避難で、割れたガラスの破片などから足を守るためにも、スニーカーなどの動きやすい靴を一足用意しておくと安心です。
また、薄手の上着や長袖シャツなども、エアコンの防寒対策として役立つだけでなく、避難時の体温調節や、日差し、怪我から肌を守る役割も果たしてくれます。
ウェットティッシュや除菌ジェル
食事前や汗を拭くためにウェットティッシュや除菌ジェルを持っていく人は多いかもしれません。
しかし、断水になると、手を洗うことが難しくなるため、これらのアイテムは衛生状態を保つための必須アイテムになります。
懐中電灯とモバイルバッテリー
停電は数日続く可能性があるため、スマートフォンより長持ちする懐中電灯は必須です。
連絡手段を確保するために、モバイルバッテリーも忘れずに持っていきましょう。
常備薬
頭痛薬や胃腸薬など、普段から飲み慣れている薬は多めに準備しておくと安心です。
小分けにした現金
フィリピンでは、屋台やローカルマーケットでの買い物は、現金を使うのが未だに一般的です。
災害時には、ATMやクレジットカード決済が使えなくなることを考え、普段から小額紙幣を多めに持っておくことは、日常生活にも災害時にも役立ちます。
防水バッグ
スマートフォンやパスポート、現金など、貴重品を保護するために役立ちます。
丈夫なサブバッグやリュック
荷物が増えたときのために、折りたためるサブバッグやリュックを持っていく人は多いです。
これがいざという時には、避難時に貴重品や水などをまとめて持ち出す「非常用持ち出し袋」の代わりにもなります。
留学生や在住者は、これらに加えて、飲料水や非常食(缶詰、レトルト・インスタント食品など)を地震や台風などの自然災害に備え、日頃から少し多めにストックしておくことをおすすめします。
ひとたび災害が起きると、物資の入手が非常に困難になるためです。
また、トイレを流したり、手洗いなどに使えるよう水道水の汲み置きをしておくと安心です。
海外旅行保険の補償内容の確認
地震によるフライトの遅延や欠航、滞在先の変更など、予期せぬトラブルが発生する可能性があります。
契約している海外旅行保険が、地震などの自然災害による旅程変更や、ホテルの延泊費用などをカバーしているかどうか、事前に確認しておくと安心です。
家族や関係者との連絡手段の確認
緊急時に安否を伝えるための手段を事前に決めておくことも大切です。
現地での通信手段
渡航後すぐに使えるよう、現地SIMカードの購入や、Wi-Fiルーターのレンタルを検討してください。
現地のインターネット回線が使えなくなっても、モバイルデータ通信で情報収集や安否連絡ができる可能性が高くなります。
緊急連絡先の登録
日本大使館、語学学校、滞在先の担当者など、緊急時に連絡を取る必要がある連絡先は、事前にスマートフォンに登録しておきましょう。
【滞在中】地震発生時の具体的な行動マニュアル
地震はいつ起こるか予測できません。
そのため、もし滞在中に強い揺れを感じた場合にどう行動すべきか、事前に頭に入れておくことが非常に重要です。
揺れを感じたら
揺れを感じた時に最も重要なことは、身の安全を最優先に確保することです。
「Drop, Cover, and Hold On」
Drop (姿勢を低く):地面に伏せて、転倒や落下物から身を守るために低姿勢をとります。
Cover (頭を守る):手やカバンなどで頭を守り、近くに丈夫なテーブルなどがあればその下に隠れます。
Hold On (つかまる):揺れが収まるまで、隠れた場所の脚などをしっかりとつかんで体を固定します。
高層階にいる場合
揺れが激しく、家具が転倒したり、窓ガラスが割れることが起こりやすくなります。
窓から離れて、丈夫なテーブルの下などに身を隠してください。
エレベーターは絶対に使用せず、階段で避難してください。
揺れが収まったら
揺れが収まっても、すぐに外に出るのは危険です。
冷静に状況を確認し、以下の行動を取りましょう。
津波・余震への警戒
強い揺れを感じた場合、津波警報が出る可能性があります。
特にリゾートホテルなど海沿いのエリアにいる場合、スマートフォンやテレビで情報を確認し、滞在先の指示に従ってください。
場合により高台への避難を検討してください。また、余震にも注意が必要です。
火の元の確認
揺れが収まってから、火を使っている場合にはすぐに消火しましょう。
避難経路の確保
ドアや窓を開けて避難経路を確保し、避難の準備を始めます。
エレベーターは使わず、階段を使って避難しましょう。
地震後の生活で知っておくべきこと
地震は、起きた直後だけでなく、その後の生活でも注意すべき点がいくつかあります。
日本とは違うフィリピンの事情を理解しておくことが、安全な滞在に重要です。
停電・断水と復旧にかかる時間
地震の規模により一概に言えませんが、停電や断水は高い確率で発生するものと思っておけば間違いがないです。
フィリピンでは、日本のようにスムーズなインフラの復旧は期待できないのが現状です。
停電が数日〜数週間、場合によっては1ヶ月以上続く可能性も十分に考えられます。
この間、自家発電設備があるコンドミニアムでも電気は使えても、供給時間は制限されることがあります。
また、それによりエレベーターの稼働時間にも制限がかかります。
現金の確保
フィリピンでは台風や地震など自然災害が発生すると、ATMやクレジットカードの決済システムが一時的に使えなくなることがあります。
そのため、現金を引き出すことができず、不便を感じる可能性があります。
災害時は、普段キャッシュレス決済を利用している人でも、災害時には現金を求めてATMに長蛇の列ができることがあります。
それにより、ATMの中に現金がなくなり現金が引き出せなくなることも考慮し、普段からある程度の現金を手元に持っておく方がよいでしょう。
物資の確保
地震の影響により、物資の流通が止まり、スーパーやコンビニに食料や飲料水が入ってこなくなる可能性があります。
台風と同様、災害時には買い占めが発生することもあるため、日頃から少し多めにストックしておくことが重要です。
特に、留学生や在住者は、数日分から1週間分程度の飲料水や非常食を準備しておくといざという時に安心です。
情報収集と避難場所の確認
地震発生後には、不確かな情報が飛び交うことがあります。
正確な情報を得るために、以下の方法を参考にしてください。
公式情報源(PHIVOLCS)
地震や津波に関する情報を担当するフィリピン火山地震研究所(PHIVOLCS)の公式サイトやSNSをチェックすることが最も確実です。
日本大使館
日本大使館や総領事館は、安否確認や支援に関する情報を提供します。
語学学校
語学学校は生徒の安全を確保するため、安否確認や緊急時の連絡体制を整えています。
学校の指示に必ず従うようにしましょう。
避難場所
滞在しているホテルや語学学校、コンドミニアムには、避難場所や避難経路が掲示されていることが多いです。
旅行者であれば部屋に入ってから、留学生や在住者であれば日頃から確認しておくことで、いざという時に慌てずに避難できます。
まとめ
フィリピンは、日本同様、地震が避けられない国です。
ですが、過度に不安になる必要はありません。
この記事で解説した地震のリスクを正しく理解し、事前にしっかりと準備をしておくことで、万が一地震が起きても落ち着いて対応できます。
正しい知識と備えがあれば、フィリピンでの滞在をより安全に、そして安心して楽しむことができるでしょう。
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