フィリピンの宗教は?渡航前に知っておくべき習慣と注意点を徹底解説 | フィリピン留学・セブ島留学ならQQEnglish【公式】
2025.06.09
フィリピンの宗教は?渡航前に知っておくべき習慣と注意点を徹底解説

フィリピンは、国民全体の約90%以上がキリスト教を信仰するキリスト教国家です。
「フィリピンの宗教は厳格?」
「フィリピン渡航前に宗教で知っておくべきタブーはある?」
など、フィリピンの宗教的文化について、疑問をお持ちではないでしょうか。
本記事では、フィリピンの宗教事情とその歴史的背景、日常生活に根づく宗教的な考え方について解説します。
フィリピンへの渡航前に宗教や文化を正しく理解して、現地の人とのコミュニケーションに役立ててください。
フィリピンの宗教事情
フィリピンはキリスト教国家で、国民の約83%がカトリック教を信仰しています。
キリスト教徒が比較的少ないアジア圏で、フィリピンは唯一カトリック教徒が国民の多数を占める国です。
その他10%がプロテスタントなど他のキリスト教宗派、約5%がスンニ派のイスラム教です。
フィリピンの政治や日常的な文化にもカトリック教が大きな影響を与えていて、キリスト教になじみの薄い日本人が知らない慣習や考え方があります。
フィリピンへ行く際には、事前にフィリピンの文化や基本的な考え方を知っておくと、フィリピン人とのトラブル回避に役立ちます。
フィリピンでキリスト教が広まった理由
フィリピンが、国民の90%を超えるほどのキリスト教国家になったのはなぜでしょうか。
それは、フィリピンが歩んできた植民地支配の歴史に答えがあります。
フィリピンの古代信仰
フィリピン人はもともと自然界に宿る霊魂を信じており、自然現象や山、川、動物など、あらゆる自然物を崇める「アニミズム」という信仰がありました。
この古代フィリピンにあった信仰の要素は、キリスト教国家となった今でも受け継がれている部分があり、常にフィリピン文化の根底に存在します。
フィリピンにあるたくさんの島は海上交易の拠点として、中国、インド、東南アジア諸国と交流しながら、仏教やヒンドゥー教、イスラム教の影響も受けました。
そんな中14世紀後半、交易にきたアラブの商人が、マレー半島やインドネシアからフィリピン南部にイスラム教を伝えたと言われています。
今でもフィリピン南部のミンダナオ島では、イスラム教を信仰する人々が暮らしています。
スペイン統治時代(1565年〜1898年)
16世紀に、スペインから到着したマゼランがフィリピンを発見しました。
その後マニラを首都として、スペインの約330年間にわたる植民地支配を受けることとなります。
このスペイン統治時代にやってきた宣教師たちが、教育や医療などフィリピンのあらゆる面においてカトリック教の教えを根づかせました。
アメリカ統治時代(1898年〜1946年)
19世紀後半、フィリピン国内で起こったスペインからの独立革命と米西戦争がきっかけで、フィリピンはスペインからアメリカへ売却されました。
それ以降フィリピンの統治権がアメリカへと移り、信教の自由が保障され、プロテスタント派を中心にさまざまな宗派のキリスト教の布教が始まりました。
それまでに広まっていたカトリック教の影響が大きく、結果的に現在のフィリピンでは、国民の80%以上がカトリック教徒となっています。
フィリピンの祝日と宗教行事
フィリピンでは、国教のキリスト教に由来した祝日や行事が多くあります。
フィリピンの祝日は、ほとんどがキリスト教に関係していると言われるほどです。
下記に、主な祝日を3つご紹介します。
ホーリーウィーク・復活祭 3~4月頃の3日間
カトリック教において、イエス・キリストがエルサレムの死から復活するまでの1週間を記念する最も重要な期間が、「ホーリーウィーク」です。
復活の日はイースターとしてさらに盛大にお祝いします。
ホーリーウィークは、復活祭前の木曜日(Maundy Thursday)、金曜日(Good Friday)、土曜日(Black Saturday)の3日間が休日となります。
イースター(復活祭)は、春分後初めての満月の翌日曜日となっているため、それに合わせてホーリーウィークの祝日も変動します。
オールセインツデー 11月1日
キリスト教におけるすべての聖人を尊敬する日で、天国にいる聖人と地上にある教会が、ひとつの神のもとに集まるという信仰を表す意味を持っています。
ちなみに、オールセインツデーの前日は10月31日のハロウィーンです。
日本でもハロウィーンの存在はかなり広まっていますが、オールセインツデーの前夜祭であると知っている人は少ないかもしれません。
フィリピンでは11月1日と翌日11月2日の2日間、「死者の記念日」としてお墓参りをするのが恒例です。
日本のお盆と同じで、この期間は帰省する人が多いので交通機関が混雑します。
地域や場所によりますが、2日間とも休日となる場合があるので、留学や旅行の際には注意してください。
クリスマスイブ・クリスマス 12月24日、25日
日本のようにキリスト教ではない国でも、一大イベントとして定着している「クリスマス」。
12月25日はイエス・キリストの誕生を祝うための、厳かでとても大切な日です。
クリスマスイブから教会にでかけて、25日の0時になると盛大なミサが開かれます。
キリスト教国家のフィリピンにおいて、クリスマスは家族と過ごすのが定番です。普段は海外や遠い場所で暮らしている家族や親戚一同が集まり、一緒に食事をしてお祝いします。
フィリピンは世界で最も長くクリスマスを楽しむ国とも言われています。9月に入ったころから当日まで、街中にイルミネーションなどの装飾があふれます。
クリスマスは12月24日、25日と、独立戦争を戦った英雄ホセ・リサールを追悼する日として、12月30日から1月1日の元旦までの合わせて2回、長期休暇があります。
その他の宗教行事(お祭り)
全国的な祝日ではありませんが、フィリピンには地域ごとに行われるカトリック教が由来の地域祝日(お祭り)がいくつかあります。
下記に紹介するのは一部ですが、フィリピン人の考え方や文化を理解するために重要な行事です。
1.ブラック・ナザレ祭り(マニラ)
毎年1月9日に、マニラ市キアポ地区で開催される大きなお祭りです。
「ブラック・ナザレ」と呼ばれる黒い肌をしたイエス・キリスト像を、金色の台車に乗せて練り歩く「トラスラシオン」というパレードがメインの催しです。
黒い肌のイエス像は十字架を背負って苦しむ姿を表現しており、「病気や困難に打ち勝つ力」を意味しています。
パレードは数時間から半日以上かけて、約6.5km進みます。
パレード周辺は人がかなり密集するため、スリなどの窃盗が多く発生しています。
在フィリピン日本国大使館も、毎年祭りの前に安全対策に関する注意喚起を行っています。参加や見学を検討する際には、危険性をしっかりと理解し、しっかり準備をして行くようにしましょう。
2.シヌログ祭り(セブ島)
セブ島で行われる、フィリピン最大のお祭り「シヌログ祭り」です。
これを目当てにたくさんの観光客が国内外から訪れます。
幼いころのイエス・キリストを意味する「サント・ニーニョ」への信仰を示すカトリック教のお祭りです。
セブ島はフィリピンで初めにキリスト教が伝えられた場所で、「サント・ニーニョ」を守護聖人として崇拝しています。
メインのパレードは、毎年1月第3日曜日に開催されます。「シヌログ」というセブ島に伝わる伝統的なダンスを踊りながら、セブ市内をパレードします。
パレード沿道では屋台が並ぶなど、セブ市全体が盛り上がる一大イベントです。
マニラのブラック・ナザレ祭りと同様、非常にたくさんの人が訪れる有名な宗教行事です。
特にパレードルートでは、大規模な交通規制が行われるため、周辺へ行く際は充分に注意してください。
関連記事:セブ島最大のお祭りシヌログ
3.ディナグヤン祭り(イロイロ市)
フィリピンのパナイ島にあるイロイロ市で行われる、大規模なお祭りです。
毎年1月の第4日曜日にメインのパレードが開催され、その数週間前からさまざまなイベントがあります。
シヌログ祭りと同じく「サント・ニーニョ」への敬意を表すことを目的としています。
それと同時に、パナイ島に住む先住民族であるアティ族を敬う意味も込められた、大切な行事です。
先住民族のカラフルなコスチュームを着て、ダンスパフォーマンスをしながらイロイロ市内をパレードします。
最近では夜間にイルミネーションをした巨大な山車を使ったパレードや、人気料理店の屋台など新しいイベントも広がっていて、市内の主要行事として賑わいを見せています。
お祭り期間中は、市内のホテルは非常に取りにくくなります。
また、混雑した状況での犯罪にも注意してください。1人で行かず、複数人で固まって行動することを強くおすすめします。
フィリピンの宗教上で気をつけるべきこと
最後に、フィリピンの宗教が影響している文化のなかで、日本人が注意するべき点を解説していきます。
宗教に関する批判的な発言はNG
フィリピンに限ったことではありませんが、まず異文化交流の大前提として、お互いの宗教や文化には敬意をもって接しましょう。
特に熱心なカトリック教徒が多いフィリピンで、宗教上の習慣を否定するのはNGです。
言葉の壁もありますので、ちょっとしたすれ違いで喧嘩に発展する場合もあります。
カトリック教では離婚、中絶できない
カトリック教の教えでは、中絶ができません。
また現代ではだいぶ考え方が変わって、正しい知識が広まってきていますが、本来避妊することも禁止されています。
今でも厳格なカトリック教徒や情報が届きにくい田舎の人々は、避妊できずにたくさん子供を産む家庭が多くあります。
結婚後の離婚も禁止されており、それが原因で家庭内暴力(DV)を受けてしまう女性も後を絶ちません。
これらの背景には、フィリピンに根づく宗教的な理由があることを理解しておく必要があります。
日曜日に教会へ行く
フィリピンでは街のいたるところに教会があり、毎週日曜日は近所の教会で礼拝をします。
大きなショッピングモール内でミサを開催するところもあります。
教会へ行く場合は、服装に注意が必要です。肩やひざが見える短いノースリーブやショートパンツ(スカート)は控えましょう。
正装をする人も多く、もしあればカーディガンを1枚羽織ると良いです。
足元は裸足にサンダルといったカジュアルすぎるものではなく、靴下と靴を着用してください。
年上の人から食事をする
宗教上の理由というよりは古くからのフィリピン文化ですが、食事をするときは年上の人からと決まっています。
大皿やお鍋にある料理を、それぞれのお皿に取り分けて食べることが多いです。取るときは、年上の人からというルールがあります。
一緒に食事をするときは、自分から先に取りに行くのではなく、少し待って年上の人へ配慮するようにしましょう。
まとめ
フィリピンはキリスト教国家で、国民の約83%がカトリック教を信仰しています。
無宗教に近い日本人にとって、宗教的な話題や習慣はなんとなく避けるべきというイメージはないでしょうか。
大切なのは「なんとなく避ける」のではなく、違いを認めて理解しようとすること、正しい知識と敬意を持って相手と向き合うことです。
フィリピンでは祝日だけでなく生活のあらゆる場面で、キリスト教の影響を受けています。
本記事を読んで、少しでもフィリピンの文化背景にある宗教について理解を深め、有意義な滞在につなげて頂けるとうれしいです。