2025.02.26
フィリピンでの滞在には、目的に応じたビザや特別許可証の取得が必要です。
観光や留学、就労など滞在目的によって適用されるビザが異なり、場合によっては追加の許可証が求められることもあります。
特に留学を考えている人にとっては、ビザと特別許可証の違いや組み合わせを理解することが重要です。
本記事では、フィリピンの各種ビザと特別許可証の詳細、それぞれの取得条件や注意点について詳しく解説します。
フィリピンへの渡航や滞在には、目的に応じたビザ(査証)の取得が必要です。
ビザは外国人がフィリピンに入国し、一定期間滞在するための法的な許可証で、観光、ビジネス、留学、就労、永住など、さまざまな目的に応じた種類が用意されています。
また、一部のビザでは追加の特別許可証が必要になることもあります。
ここでは、フィリピンで取得できる14種類の主要なビザについて、それぞれの特徴を簡潔にご紹介します。
観光や短期商用など、短期間の滞在を目的とする人向けのビザです。
短期観光や親族訪問などの目的で滞在する外国人向けのビザ。日本国籍の場合、30日以内の滞在はビザ不要ですが、延長手続きにより最大36カ月まで滞在可能です(詳細はまとめ表参照)
フィリピン国内での事業活動や商取引を行うためのビザ。短期の出張は9Aビザで対応可能ですが、長期的なビジネス滞在には9Dビザが必要です。
各国の外交官や政府関係者、その家族向けのビザ。フィリピン政府の公式な承認が必要となります。
フィリピンで学ぶ、または働くために必要なビザです。
大学や専門学校など、正式な教育機関で6カ月以上学ぶ外国人向けのビザ。語学学校に通う場合はこのビザではなく、特別就学許可証(SSP)の取得が必要です。
フィリピン国内で就労するためのビザで、雇用先企業がスポンサーとなり申請を代行します。短期就労の場合は特別就労許可(SWP)または臨時就労許可(PWP)も必要です(詳細は特別許可証のセクション参照)。
長期間、もしくは永住目的で滞在する人向けのビザです。
フィリピン人と結婚した外国人が申請できるビザです。取得後、1年間の仮永住権が付与され、その後は更新を経て無期限の永住権となります。
ただし、婚姻関係が継続していることが永住権の維持条件であり、離婚や配偶者の死亡時にはビザの更新に制限が生じる場合があります。
35歳以上の退職者向けのビザで、一定額以上の預金をフィリピン国内に保持することが条件です。
フィリピン国内での特定の投資活動を通じて取得できるビザ。投資対象は政府指定のプロジェクトに限られます。
フィリピンが移民協定を締結している日本・アメリカ・ドイツの国籍者が対象となるビザです。フィリピン国内で企業を設立し、30万ペソ以上の株式を保有することが条件となります。
滞在期間に制限はありませんが、ビザは毎年更新する必要があります。
年間50人までの外国人に発給される特別永住ビザで、資産や職業などの厳しい基準を満たす必要があります。
フィリピン国内にコンドミニアムを所有するか、指定された宿泊施設に滞在する長期滞在者向けのビザです。
特別な事情で短期間滞在する場合や、特殊な立場の人向けのビザです。
現在のビザから観光ビザ(9A)へ切り替える際に使用される一時的なビザです。
フィリピン国籍を持つ人、またはその外国籍の配偶者および子供が対象となる特別滞在許可プログラムです。このプログラムにより、最長1年間ビザなしで滞在することが可能です。
フィリピン入国時に、対象家族が同伴することが条件となります。
9Gビザの取得前に短期間の就労を許可する制度で、主に短期プロジェクトや契約のために発行されます。詳細は特別許可証のセクションを参照してください。
ビザ名 | 対象者 | 申請費用(目安) | 有効期間 | 延長可否 | 必要書類(主なもの) | 備考 |
9Aビザ(観光ビザ) | 観光目的の短期滞在者 | 約3,000〜5,000ペソ | 最大36カ月(延長可) | 可能(更新手続き必要) | パスポート、出入国カード | 30日以内はビザ不要(日本国籍) |
9Dビザ(商用ビザ) | ビジネス目的で長期滞在する人 | 約8,000〜12,000ペソ | 1年(更新可) | 可能 | 招聘状、雇用証明、パスポート | 長期商用活動は9Dビザが必要 |
9Eビザ(外交ビザ) | 外交官・政府関係者 | 無料 | 任務期間中有効 | 不要 | 公的文書、パスポート | 一般人は申請不可 |
9Fビザ(学生ビザ) | フィリピンの大学・専門学校で学ぶ学生 | 約10,000〜15,000ペソ | 1年(更新可) | 可能 | 入学許可証、健康診断書、パスポート | 語学学校はSSPが必要 |
9Gビザ(就労ビザ) | フィリピン国内で働く外国人 | 約20,000〜30,000ペソ | 雇用期間中有効 | 可能(再申請必要) | 雇用契約書、雇用主の推薦状、ACR I-Card | 雇用主がスポンサー |
13Aビザ(結婚ビザ) | フィリピン人配偶者を持つ外国人 | 約15,000〜20,000ペソ | 永住(初年度は仮永住) | 更新必要 | 婚姻証明書、共同銀行口座証明、パスポート | 婚姻関係継続が条件 |
SRRV(特別居住退職者ビザ) | 35歳以上の退職者 | 約1,400ドル(申請料) | 永住 | 不要 | 預金証明、健康診断書、無犯罪証明書 | 預金維持が条件 |
SIRV(特別投資家居住ビザ) | フィリピン国内で投資を行う外国人 | 約20,000〜30,000ペソ | 1年(更新可) | 可能 | 投資証明、パスポート、財務諸表 | 投資継続が条件 |
条約投資家査証(TREATY TRADERS VISA) | 日本・米国・ドイツ国籍の投資家 | 約20,000〜30,000ペソ | 無制限(年次更新) | 必須(年次更新) | 会社設立証明、株式証明書(30万ペソ以上)、パスポート | 移民協定対象国限定 |
クオータビザ(永住ビザ) | 年間50人に限定された特別永住ビザ | 約30,000ペソ | 永住 | 不要 | 資産証明、健康診断書、無犯罪証明書 | 年間発給数に制限あり |
SRVV(ロングステイ査証) | 長期滞在目的の外国人 | 約10,000〜15,000ペソ | 1年(更新可) | 可能 | 不動産所有証明、滞在証明、パスポート | コンドミニアム所有者向け |
ダウングレードビザ | 他ビザから観光ビザ(9A)へ切替する人 | 約3,000〜5,000ペソ | 一時的(短期間) | 不要 | パスポート、既存のビザ証明書 | 観光ビザ取得までの暫定措置 |
BALIKBAYANプログラム | フィリピン国籍者およびその家族 | 無料 | 最長1年 | 不要 | パスポート、家族関係証明書 | 入国時に家族同伴が条件 |
特別就労許可(SWP)/臨時就労許可(PWP) | 短期就労または一時的就労する外国人 | 約8,000〜12,000ペソ | 3〜6カ月(更新可) | 可能 | 雇用契約書、雇用主の推薦状、パスポート | 仮の就労許可で正式ビザ取得が前提条件 |
注意事項
フィリピンでの滞在目的によっては、ビザだけでなく追加で取得が必要な特別許可証が存在します。
これらの許可証は、就学・就労・長期滞在など特定の活動を行うために必要なもので、ビザの補完的な役割を果たします。
特に語学留学や短期就労の場合、知らずにいると出国時や滞在中のトラブルにつながることもあります。
ここでは、留学・就労・滞在管理に関連する主要な5つの特別許可証について解説します。
語学学校や短期の教育プログラムで学ぶために必要な許可証です。
フィリピンから出国する際に外国人が取得する必要がある許可証で、これがない場合、出国できません。
申請から発行まで数日かかることがあるため、出国日から逆算して余裕を持ったスケジュールで手続きすることが重要。
60日以上フィリピンに滞在する外国人に対して発行が義務付けられています。
9Gビザ未取得の短期就労者向けの許可証で、短期的な業務を可能にします。
9Gビザの取得手続き中に一時的に就労するための仮許可証で、通常は最大3カ月間有効です。
許可証名 | 対象者 | 申請費用(目安) | 有効期間 | 延長可否 | 必要書類(主なもの) | 備考 |
SSP(特別就学許可証) | 語学学校などで学ぶ外国人留学生 | 約6,500ペソ | 6カ月 | 更新可 | パスポート、入学許可証(LOA)、申請書 | 語学学校で学ぶ場合に必要。6カ月ごとに更新。 |
ECC(出国許可証) | フィリピンに6カ月以上滞在した外国人 | 約500~1,000ペソ | 出国時に1回限り有効 | 不要 | パスポート、ACR I-Card、出国便の航空券 | 出国7日前までに移民局で取得が必要。 |
ACR I-Card(外国人登録証) | 60日以上 滞在する外国人 | 約3,000ペソ | 1年 | 更新可 | パスポート、ビザのコピー、申請書 | 身分証明書として機能し、常時携帯が義務。 |
SWP(特別就労許可) | 短期就労(3~6カ月)を希望する外国人 | 約6,000~10,000ペソ | 最大6カ月 | 再申請可 | パスポート、雇用契約書、申請書、雇用主のサポートレター | 9Gビザが不要な短期就労向けの許可証。 |
PWP(臨時就労許可) | 9Gビザ申請中で早期就労を希望する外国人 | 約8,000~12,000ペソ | 最大3カ月 | 不可 | パスポート、雇用契約書、9Gビザ申請書類、申請書 | 9Gビザ取得までの仮の就労許可証として機能。 |
注意事項
フィリピン滞在には目的に応じたビザと特別許可証が必要です。
観光なら9Aビザ、留学ならSSP、就労には9Gビザなど適切なビザを選びましょう。また、ACR I-CardやECCなど追加手続きが求められる場合もあります。
申請要件は変更されることがあるため、最新情報を確認し、正しい手続きで安心して滞在しましょう。