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鳥を殺さないで羽毛布団を(伊藤)

私が世界を目指す理由は、人工の羽毛を作るためです。
小学生の頃のことでした。
家族で初めて旅館に泊まった日の夜。人生で初めて羽毛布団に触りました。
それはとても軽くて、ふわふわで、すっと肌になじみました。
私は心底感動しました。
嬉しくなって何度も布団の上で飛び跳ねました。
すると、ふいに羽毛の欠片が飛び出しました。
ただそれだけです。
でも、私は心底ぞっとしました。

この布団を作るために、いったい何羽の鳥が犠牲になったのだろう。
けれども、この布団はすごく気持ちがいい。
けれども、鳥がかわいそう。
けれども、この気持ちよさは捨てがたい。
けれども、もし自分が鳥だったなら、こんな布団にされるなんて御免だ。
けれども、自分は人間だからこの布団を使いたい。
けれども…

こういうのを解決するのが科学だろう。
偉そうにそんなことを思って、その日から私の夢は人工の羽毛を発明することになりました。
人工の羽毛で羽毛布団を作って、心置きなく羽毛布団を楽しみたい。
そんな純粋なわがままでした。

あれから早20年。
私はすっかり大人になりました。
こんなに時が経ったのに、世界にはまだ人工羽毛がありません。
それなら私が世界で最初に作ればいい。
10年前、無理を言って実家から遠く離れた大学に進学し、今は社会人として学費を稼ぎながら、大学院で生命科学の研究を行っています。

研究すればするほど、人工の羽毛を作るなんてことがどんなに難しいかが痛いほどよくわかります。
少女の純粋なわがままだけでは到底かなわない。

実は、最近、私は研究を諦めようかずっと悩んでいました。
研究には困難が伴います。
結果が出ない、論文がまとまらない、研究費が少ない、人手が足りない、給料が上がらない、次の仕事の契約が見つからない。
覚悟のうえで進んだ道ではありましたが、とうとう挫けるかと思いました。
諦めかけたその時に、大学の先生がお言葉をくださいました。
「崖に見えるそれは、実は50 cmの高さしかないかもしれないよ。
困難はいつでも大きく見えるもの。とりあえず跳んでみたらいいよ。」

そのときに気づかされました。
信じて歩くことが大事なんだ。

結局、壁が50 cmだったのかどうか、今はまだわかりません。
けれども、私は諦めきれずに研究をしています。
きっとずっと諦めきれずに研究をしていきます。
この先も様々な困難に直面するんだと思います。
そのたびに、実は50 cmかもしれない崖を超えながら、その崖の先にある大きな夢に近づいていると信じて進みます。

そして、世界で初めて人工の羽毛を作るんです。
たった10歳の小さな私の純粋なわがままのために。
何のためらいもなく羽毛布団を楽しむために。
これが私の世界を目指す理由です。

 

 
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