2017.04.17
こんにちは、ふみかです!
みなさん、お花見はいかがでしたでしょうか? ピンクのトンネルの中、桜の間から満月を見上げて、そぞろ歩くのもいいですよね。
お花見とお月見は、日本の心のような気がします。
「あ、満月だ! ほらあそこ!」
シーフロント校から大通りまでに、木の下を通る素敵な道があります。木々の間からお月様を見つけ、思わず声を上げました。
「わぉ。怖い。魔女だ、魔女」
フィリピンの子が答えます。
満月は魔女をイメージするらしいのです。
「満月には“うさぎ”でしょ。月の影に“うさぎの耳”が見えるでしょ?」
「えぇ~、どこ?」
と見上げながら、見上げた後に、
「怖いよ!」
答える声は、結構本気で怖がっているようです。
「なんで怖いの?」
と聞くと、腰のところに手を当てて、
「ここから上だけで飛ぶ魔女がいるから」
と真剣な顔で答えます。腰から下が無いなんて…と思いながら、
「ハロウィンじゃないんだから…」
と怖くなって答えると、
「スーパーナチュラルは、フィリピンでは普通に信じられているんだよ。特に田舎では、本当にみんな信じているんだから!」
と教えてくれました。
そう言えば、学校でスタッフや先生達が、
「私のおばあちゃんは、ヒーラーだよ」
「シャーマンなんだって、あの子」
と言う言葉が出てきます。疑って言っているのではなくて、「あの子、経理ができるんだって」と言うのと同じノリです。そして、敬意が入っているようです。
「呪術的な事をすると、水がちゃんと流れて行くから」
と言われたのは、「鳥を一羽捌くと良いんだ」と教えてくれながらです。どうも鳥の血を使って何かするようです。
「あの家は下水が詰まりやすくて困っているから」
と言う話だったのですが、鳥と血での解決の話になって、ちょっと怖くなってきて、
「捌いた後、その鳥は食べるの?」
食べ物だと思うと怖くない、と思って聞くと、
「そりゃね。でも食べる鳥と種類が違っていて高いんだよ」
と言います。「へぇ、呪術的な鳥が、普通に売られているんだ」と思うと、なぜだか怖くなくなりました。
ともあれ、日本では満月にはお月見があって、月見団子を食べたりします。それは中国から来た文化だから、中国でもやっていると思うよ、と言うと。
「フィリピンには、違う文化があるんだよ」
と自慢げに言います、でも、言いながら、
「満月が出たら隠れたくなるのがフィリピン文化だよ」
と言って、通りを歩きながら、ひょいっと木の作る月影に入ってしまうのです。
本当に、綺麗な満月の、夜空が大きく見える、ほどよく涼しい夜道だったのですが、不思議な世界がすぐ隣にあるような気がしたのでした。