2022.10.27
アメリカ出張から帰ってきました。今回はカリフォルニア大学サンディエゴ校にて、1週間にわたって地政学のプログラムを受けることが目的でした。 「地政学」については、ロシア-ウクライナ戦争以降、テレビや新聞、雑誌、webにおいても頻繁に目にします。 簡単に紹介すると、地政学とは国際政治を地理的な条件に注目することで分析、考察する学問です。 たとえば日本やイギリスは四方を海に囲まれています。一方、スイスやオーストリア、ハンガリーなどヨーロッパの一部の国は海に面していないため、国境線はすべて陸にあります。また、ウクライナやノルウェーのように軍事大国と陸で国境を接する国もあります。 このような地理的条件によって、それぞれの国の政治や経済、安全保障、外交は大きな影響を受けます。 そこで、国家間で起きた過去の出来事や現在起きていることを、地理をもとに読み解こうとする学問が「地政学」です。 今回、私が地政学を学ぼうと思ったのは、今後のビジネス展開を考えるうえで世界情勢を見極めることが必要不可欠であると確信したからです。そして、激変する世界情勢を理解するためには、地政学を学ぶのが最も手っ取り早いと判断したからこそです。 また、QQEnglishには世界中から生徒さんが集まってくるため、それぞれの生徒さんの価値観の大元を知るためにも、地政学の知識を身につけることは極めて重要だと思いました。 それにしてもわざわざアメリカまで足を伸ばさなくてもよいではないか、と思う方もおられるかもしれませんね。 私があえてアメリカにある大学の講座を選んだのは、アメリカにはさまざまな国の専門家が集まっているためです。ことにカリフォルニア大学サンディエゴ校には世界情勢の分析にかけては世界トップクラスの頭脳が集結しており、世界で最も優れた大学のひとつとして知られています。 思い立ったときに世界最先端の知識をサクッと吸収できるのも、英語ができるおかげです。英語を身につけておいて良かったとつくづく思います。 講座では気になるロシア情勢や、今後アジアで台頭してくる国の話など、すぐに役立ちそうな有益な知識を吸収できました。 また、新型コロナのパンデミック後の世界についての話は示唆(しさ)に富んでおり、私の今後の状況判断に大きく影響しそうです。 思えばQQEnglishは2020年3月にコロナのパンデミックが始まったとき、どこよりも早く行動できました。その結果、先生を含めた1300名のスタッフを一人も解雇することなく無事に乗り切り、オンライン英会話の生徒さんをコロナ前の3倍に伸ばすことができました。 こうした正しい判断ができたのは、さまざまな情報を事前に知っていたからこそです。 今後も同じです。世界トップクラスの専門家から吸収した最先端の地政学の知識や情報は、書籍や動画から補えるものではなく、今後の状況判断に必ずや良い結果をもたらしてくれることでしょう。
さて、今回お話ししたいのは地政学の話ではなく、実際に体験したアメリカの物価高についてです。 円安に加え、アメリカでは深刻なインフレが進んでいるため、あらゆる物の価格を高いと感じました。 ロサンゼルスに行った際、フィリピンで有名なハンバーガーショップのジョリビーを見つけたので入ってみたところ、思わず驚いてしまいました。値段がなんと、フィリピンの倍もしていたのです。たかがハンバーガーセットなのに、日本円にして1400円以上もしていたことに我が目を疑いました。 それでもハンバーガーショップではチップがいらないため、まだましです。ところが、普通のレストランでは必ず20%ほどのチップを払わなくてはなりません。そのため、どこで何を食べても2000~3000円はかかります。少しでも高級感のあるレストランに行くと、すぐに1万円程がなくなってしまう感覚でした。 もちろん、アメリカに来たのは初めてではありません。私が初めてアメリカを訪れたのは、プラザ合意の後の1988年です。 「プラザ合意」とは、1985年9月にG5で発表された為替レートの安定化に関する合意のことです。これにより日本は円高ドル安へと誘導され、国内景気は低迷することとなりました。 当時、初めてアメリカを訪れた私は、あらゆる物を安いと感じました。それ以来、もう数え切れないほどアメリカの地を踏んでいます。 しかし、今回ほどアメリカと日本の物価の違いに愕然(がくぜん)としたことはありません。 物価差の原因はさまざまですが、最も大きな影響を与えているのは国家ごとの経済状況です。 久しぶりにアメリカに来て感じたのは、今後日本はアメリカと、いや、世界との物価差がどんどん離れていくのではないか、ということです。 そのことは同時に、残念ながら日本経済の低迷が今後も長く続くだろうことを意味します。 アメリカをはじめとする世界と日本の経済状況には、現時点で大きな格差が生まれています。それを端的に表しているのが、人件費の推移です。 アメリカでは今、猛烈な勢いで人件費が高騰しています。ジェトロ(日本貿易振興機構)によると、米国企業の2023年度予算は、前年比4.1%増と報じられています。この数字は2008年以降、最大の伸び率になるとのことです。 実はアメリカの物価高は、人件費の高騰によってもたらされている面があります。 今回はここまでです。次回は、人件費と物価高に関する日経の記事を追いかけながら、日本の行く末について思ったままを綴りたいと思います。 お楽しみに!