英語を始めるのに「遅すぎる」はない。7年遅れで出たiPhone Duoが教えてくれること

Appleが初めての折りたたみスマートフォン「iPhone Duo」を発表しました。発売は10月23日、米国での価格は1,999ドルからです。
私が注目したのは、画面の大きさでも値段でもありません。「7年」という数字です。
サムスンが世界で初めて折りたたみスマートフォン「Galaxy Fold」を発売したのは2019年9月でした。Appleはそこから7年、何も出さなかった。
そして今、まったく慌てた様子もなく、最初ではない製品を堂々と出してきました。
「英語のブログでなぜスマホの話?」と思われるかもしれませんが、私はこれを見て、英語を学ぶ人に伝えたいことがはっきりしました。
何かを始めるのに、遅すぎることはない。ただし、条件が一つあります。今日はその話をさせてください。
Appleは7年間、何をしていたのか

Appleが7年間ただ待っていたわけではないことは、iPhone Duoの中身を見ればわかります。
折りたたみ画面の最大の弱点は、中央に残る「折り目」でした。初代Galaxy Foldは発売直前にレビュー機の不具合が相次ぎ、発売が数か月延期されています。
Appleは内側の画面にナノテクスチャ加工を施し、光を散らして折り目を目立たなくしました。
実機に触れた海外メディアの評価は割れていて、「指で触れば感じるが目には見えない」と書いた媒体もあれば、「見えるが指では感じない」「他社製品と同程度には見える」と書いた媒体もあります。
ただ、7年をかけてここに手を入れてきたことは間違いありません。
顔認証のFace IDは捨てて、指紋のTouch IDを側面ボタンに戻しました。折りたたんだ状態でも開いた状態でも同じ動作で使えるようにするためです。
バッテリーは左右に1つずつ、合計2つ。物理SIMのスロットを完全になくして、その空間もバッテリーに回しました。
つまりAppleは、先に出した他社が7年かけて味わった失敗を全部見てから、答え合わせが済んだ問題を解いたのです。
これが後発の武器です。最初でないことは、弱みではありません。
T型フォードは、19年間ほぼ同じ設計だった

では、先に出た側はどうなるのか。もう一つ、私の好きな話をさせてください。
フォードのT型は1908年に登場し、1927年まで作られました。1920年代前半には、世界で登録されている自動車の半分以上がフォード車だったと、フォード自身が記録しています。文句なしの世界一です。
ところがフォードは、その世界一の車の基本設計を19年間変えませんでした。細かな改良は加えられていましたが、フルモデルチェンジはしなかった。1914年から1925年までは、色すら黒一色でした。
その間に、ライバルのGMは1925年から毎年すべてのブランドで新型を出す方針に切り替えます。
そして1927年、GMのシボレーが年間販売台数で初めてフォードを上回りました。フォードは工場を止め、新型のモデルAへの切り替えに追い込まれます。
一番乗りは有利です。それは間違いない。でも一番乗りが最後まで勝つとは限らない。
電気自動車の代名詞だったテスラも、2025年の販売台数では中国のBYD(比亜迪。電池メーカーから自動車に参入した後発です)に抜かれました。
BYDの純電気自動車だけで約226万台、テスラは約164万台。しかも、そのテスラが納車した車の97%は、わずか2つの車種でした。
もちろん、後発の大半は消えていきます。残ったのは、更新をやめなかった会社だけです。
私にも「T型フォード」の時代がありました
ここまで会社の話をしてきました。白状すると、私自身がそうでした。
英語を始めた頃、私は単語集の「ターゲット1900」を必死に覚えました。しかし完璧に覚えたものの、一言も話せなかったのです。
単語は頭の中の在庫です。在庫は、出荷しなければ在庫のままです。19年間同じ設計の車を作り続けたフォードと同じで、私の英語は一度も「更新」されていなかった。
そこで方法を変えました。「DUO」という教材の例文をまるごと暗記し、セブ島に1〜2週間ずつ通って、覚えた例文をひたすら口から出す。合計で10ヶ月分。それで話せるようになりました。
在庫を持つことは必要です。でも勝負を決めたのは、出荷の回数でした。
差がつくのは「いつ始めたか」ではなく、「始めてから何回、口を開いたか」です。
隣の人は、10年後もあなたより上でしょうか
周りに、自分より英語ができる人がいるかもしれません。同僚、同級生、帰国子女、若い人。
でもそれは、その人が先に始めたという「先行者の利益」であって、10年後の順位ではありません。あなたの人生は今日から先のほうが長い。その先も英語を使い続けるつもりなら、時間は十分にあります。
60歳を過ぎた私が言うのですから、間違いありません。今から始めても、5年、10年続ければ、周りと比べる必要がなくなるところまで行ける。私はそう思っています。
必要なのは、英語を「勉強」ではなく「人生の一部」に加えることです。英語には、それだけの価値があります。
10年後の姿を、先に足し算しておく
「時間は十分にある」と書きました。本当にそうか、計算してみました。
文部科学省の資料によれば、日本の小中高で受ける外国語の授業時間は、合計で600〜1,000時間程度です。12年間学校に通って、この量です。
では、大人になってから自分で積み上げると、どうなるか。オンライン英会話を続けた場合の時間です。
| 1日あたり | 頻度 | 5年間 | 10年間 |
| 25分 | 週5日 | 約540時間 | 約1,080時間 |
| 30分 | 毎日 | 約910時間 | 約1,825時間 |
| 60分 | 毎日 | 約1,825時間 | 約3,650時間 |
1日25分を週5日でも、10年で学校12年分を超えます。1日30分を毎日なら、10年で学校の2倍から3倍近くに達します。
才能の話ではありません。掛け算の話です。
「10年は長い」と思われたでしょうか
10年。長いと感じられたかもしれません。たしかにそう見えます。
でも、思い出してみてください。10年前、何をしていましたか。そこから今日まで、あっという間ではなかったでしょうか。
10年前にやっておけばよかったと思うことに、英語は入っていますか。
そして10年後、また同じことを言いますか。
もちろん、10年待たなければ何も起きない、という話ではありません。1日30分を5年続ければ、約910時間。学校12年分の英語の授業に匹敵する量を、5年で自分の口から出したことになります。
私の経験では、そこまで行けば上達は自分でわかります。言いたいことを言い直さずに一度で言える回数が、明らかに増えるからです。
私はこの問いに、自分で答えを出したことがあります。40歳でセブ島に通い始めたときです。あのとき「もう遅い」と思って始めなかったら、今の会社はありません。
続いた理由は、根性ではなかった
最後に、いちばん大事なことを書きます。「続けられれば」と言うのは簡単です。問題は、どうやって続けるかです。
私が続いた理由は、意志の強さではありません。先にスケジュールを押さえたからです。
一般的な英会話スクールでは、1回の授業が終わってから次の予約を取る仕組みが多い。これだと、忙しい週は「次を取る」という行為そのものが抜け落ちます。抜けた週が2回続くと、たいてい終わりです。
QQEnglishでは、2週間先まで自由に予約できるようにしています。同じ教師・同じ時間帯で自動的に予約を取り続ける仕組みもあります。
理由は単純で、私自身が「毎回予約する」方式では続かなかったからです。予定表に先に英語を書き込んでしまえば、あとは行くだけ。続けるのに必要なのは根性ではなく、順番なのだと思います。
Appleは7年待ちました。でも待った分だけ、先人の失敗を学んで出てきた。
あなたも、遅れたと思っているかもしれません。でも単語も熟語も、学校で何年もかけて頭の中に入っている。在庫はもうあるのです。
英語が話せずに悔しい思いをしたことがあるなら、その悔しさも在庫のうちです。足りないのは出荷、つまり口に出す回数だけ。ゼロから始める人は、実はほとんどいません。
まずは2週間分、予定表に英語を書き込むところから始めてみませんか。

【データ出典】
1. Apple「Apple unveils iPhone Duo」(2026年9月9日)
2. Samsung Global Newsroom「Samsung Galaxy Fold Now Available」(2019年9月5日)
3. Ford Motor Company「The Ford Model T」
4. Tesla, Inc.「Tesla Fourth Quarter 2025 Production, Deliveries & Deployments」(2026年1月2日)
6. 文部科学省 中央教育審議会 教育課程部会 外国語ワーキンググループ資料「外国語の『目標』、『学びに向かう力・人間性等』について」(2025年11月17日)
※本文中の学習時間の表は、筆者が「1日25分×週5日」「1日30分・60分×毎日」を単純に掛け算した試算であり、公的統計ではありません。1年=52週(週5日の場合は260日)、毎日の場合は365日で計算しています。
※テスラとBYDの比較は2025年通年の販売台数(BYDは乗用車の純電気自動車のみ)によるものです。1台あたりの売上や利益、時価総額ではテスラが上回っており、2026年に入ってからは四半期ごとに順位が入れ替わっています。
※1927年にシボレーがフォードを上回った経緯、およびGMが1925年から年次のモデルチェンジ方針を採った経緯は、自動車産業史の一般的な記述に基づいています。上記の出典リストには一次資料を掲載していません。


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