2023.10.11
世界各国からの留学生が集まってくるほど、留学先として人気のフィリピン。
大学ごとに様々な特色が存在しており、そこで学べる知識と経験は非常に価値の高いものです。
学費に関してフィリピンの大学はかなり安いため、高すぎる日本の大学よりも、フィリピンの大学を選ぶ生徒は多くいます。
生活費もかなり安く、円とペソの差を利用して賢く費用を抑えることも可能です。
そんなフィリピンの大学ですが、留学する際のメリットと日本の大学の違いに気になっている方は多いのではないでしょうか?
そこで本記事では、
・フィリピンの大学に留学するメリット、デメリット
・フィリピンの大学留学にかかる費用
・日本の大学との違い
・必要な英語能力
について紹介します。
フィリピンの大学に留学するメリットについて、紹介します。
まず大きなメリットの1つは「学費が非常に安い」ことです。
公立と私立で差がありますが、日本の大学と比べるとやはり圧倒的に安いです。日本で大学に通うとなると、4年間で250万円から500万円程度の学費が必ず必要になります。
すべての方々が大学に通う余裕があるというわかではないため、中には奨学金を借りて大学に通う日本の生徒が多いことでしょう。
学費のために毎日アルバイトをし、借金をしてまで大学行くのは極めて大変なことです。
しかし、フィリピンの大学に留学するとなるとその心配をする必要が無くなります。
フィリピンの公立大学の年間の学費は約10万円しかかからないのです。デ・ラサールやアテネオなどの高級私立大学であっても、年間20万円から40万円程度しかかかりません。
加えて成績優良者や教会などで特別な活動をしている生徒は、学費が無料というケースさえ存在しているのです。
現地の人々にとってみると大学は非常に高級な場所です。
しかし、日本の視点から見た際、フィリピンの大学は贅沢をしても通うことができるほど安いのです。
この学費の安さが多くの方がフィリピンに留学する理由の1つと言えるでしょう。
円とペソの差を活用できる点も大きな魅力です。
現地の人々の平均的な収入は月8,000ペソから15,000ペソ程度です。これは日本円で2万から4万円ほどになります。
日本でこの金額を稼ぐとなると、人によっては2日から3日で稼げてしまう金額です。
最低でも月に15,000ペソ(4万円)程度、現地の中流所得者と同じような生活スタイルをすることができれば、更に費用を抑えることもできます。
コンドミニアムなどの高級住宅に住まなければ、月に5万円から6万円程度で贅沢のできる暮らしが出来てしまうことになります。
大学生活を送りながら、現地にてある程度の外食が可能になる他、リゾート地にて日本では味わうことのできない経験をすることが可能になるのです。
フィリピンはカトリックとイスラムで構成された宗教国家である他、様々な民族で構成された国です。
日本では見ることのできない、非常にユニークなお祭りや催し物が年中開催されるため、異なる文化に直接触れることができる機会が多くあります。
大学によっては宗教にちなんだイベントが開催され、コスチュームに身を包んだ人々を観察することができるでしょう。
民族独自の文化や服装を大切にしている人もおり、その雰囲気や行動には驚かされることが多いかもしれません。
この異文化からしか得られない経験というのは、社会人になる前の最後の猶予期間である大学生活にとって非常に有意義なことです。
日本という国を異なる視点で見つめられるようになる他、他国の思想や価値を尊敬できるような人間に成長できるチャンスがあるということです。
フィリピンの大学にはそのメリットの多さから、世界各国からの留学生が集まっており、様々な人達と巡り会うチャンスがあります。
人種、言語、思想が異なった人々と友人になるということは非常に刺激的であり、新たな発見を日々見ることができるでしょう。
日本を越えて、世界中からやってきた他国の人々とコネクションを作ることは、将来を展望する上で非常に実りのあるものと言えます。ビジネスや、他国での就職ができる可能性を伸ばすことに繋がり、世界で活躍できるチャンスが広がっていくということです。
フィリピンの大学はその大学のレベルによりますが、授業は基本的に英語にて行われます(タガログ語やビサヤ語も少し混じる)。
個人差がありますが、教授や生徒達の言っていることを毎日聞き続けていると、2ヶ月程度でリスニング能力が現地の生徒に匹敵するほど成長することが多いです。
生徒ごとに訛りのある英語を話すため、その訛りに適応した英語の耳を鍛えることも可能です。結果的にスタンダードな英語であるアメリカ・カナダ・イギリス英語の他に、様々な英語を理解することもできるようになります。
授業によりますが、教授からいきなり当てられ、当該についての意見を述べなければならない授業も存在しています。最初は戸惑うことが多くありますが、現地の生徒や教授は英語ができない生徒をバカにするようなことは全くありません。
親身になってサポートしてくれる友人や、英語が不得意なことを理解してくれる教授も多いため、恥ずかしがらずに自分の意見を英語で述べることができる環境なのがフィリピンの大学なのです。
ライティングやリーディングも甘えが許されないほどの量をこなす必要があるため、必然的に英語能力が向上し続けていきます。
意外かもしれませんが、フィリピンの公用語は英語ではありません。
大学で生徒が話す言語というのは基本的にタガログ語やビサヤ語であり、日常的に英語を話す生徒はあまり多くありません。日本人を始めとした外国人に対しては英語で対応してくれる生徒は多くいます。
しかし、仲良くなるには彼らの言葉を理解する姿勢が必要です。
少しずつですが、英語以外の言語に触れていくことによって多種多様な表現や価値観に気付いていくのです。具体的には日本語や英語と異なった、発音の仕方や声のトーンというのを学ぶ事ができます。
現地の生徒達とコミュニケーションを少しづつとるにつれ、英語以外の言語を理解していくことになります。
結果的に、バイリンガルどころか、トリリンガル(3言語話者)、マルチリンガル(4言語以上の話者)になることも可能なのです。
学部によりますが、海外の大学というのは日本の大学に比べて倍近い課題をこなす必要があります。もしも理系の学部を目指しているなら、かなりの覚悟が必要です。
リーディングでは50ページから70ページほどの英語の文献を毎週こなすということが普通です。
その文献に対して、リフレクションペーパーやレポートを書いてくるという課題が多くあり、英語に不慣れな状態では苦労する可能性が高いです。
フィリピンの文化は日本の文化とは大きく異なり、急ぐという感覚があまりありません。
フィリピンタイムと呼ばれる価値観が存在しており、待ち合わせ時間に1時間も遅れてくるのが普通です。
咀嚼音を立てながらご飯を食べたり、騒音や大声を出すことに対してあまり気にならないなど、少し過敏な人にとって気になる点もあります。
フィリピンの食べ物には美味な物も多くありますが、日本人に合わないような料理もあります。
基本的な味付けは塩味と甘味が強い料理がほとんどである他、酸味や特有の匂いを楽しむ料理も存在しています。
油も大量に使うため、慣れない内には胃もたれを経験することが多いかもしれません。
前述した通り、英語は第2言語であって公用語ではありません。人によっては英語を理解することができない方もいる他、英語に対して嫌な顔をする人もいます。
現地の交通機関や公共施設を利用する際には、ある程度のフレーズを覚えておくことを強くおすすめします。
外国人が現地の言葉を話すと、非常に友好的になる人々が多いので試してみる価値は大いにあるでしょう。
ドゥテルテ前大統領による政治によって、フィリピンの治安は大幅に改善された上に、ミンダナオ島のダバオシティは世界治安ランキング上位にのるほど、治安が改善されました。
しかし、フィリピンはやはり外国であるため、日本ほどの治安を期待することはおすすめしません。
凶悪犯罪はほとんど減少しましたが、軽犯罪はまだ懸念するほどのレベルです。現地の人と同じような服装、振る舞いを心がけるようにするのが重要です。
特に、日本人女性が夜に1人で出歩くのはかなり危険ですので気を付けましょう。
フィリピンの大学に留学する際にまず必要な準備はチケット代です。
大手格安航空キャリアのセブパシフィック航空では羽田空港からフィリピンまで、およそ10万円程度で利用することができます。
チケットを購入するのが直前であったり、夏休みなどの長期休暇シーズンになると10万円を超えることが多いため、計画的にチケットを購入するようにしましょう。
関連記事:セブパシフィック航空完全ガイド!セブ島への直行便あり
フィリピンの大学や大学院などの高等教育機関に入学するには、学生ビザの申請が必要不可欠です。
フィリピン共和国大使館によると、学生ビザ「9f」の発行申請手続きには35,000円必要になります。
パスポートをまだ所有していない方は、日本にてパスポートを発行するための手続きも必要になるので注意しておきましょう。
フィリピンの中でも生活費が安い地域であるミンダナオ州ダバオでは、月々の生活費が最低15,000ペソであれば十分生活することができます。
年間だと180,000ペソ、日本円だと50万円程度である程度の贅沢をしながら生活をすることができます。
観光客や留学生が多いセブ島では月々最低でも30,000ペソ必要であるという意見が多いです。家賃が高い傾向にあるため、ダバオよりも多い生活費が必要になります。年間だと36,0000ペソ、日本円だと95万程度必要になります。
都市部であるルソン州マニラでは、やはり生活費は軒並み高い傾向にあります。月々の最低生活費は25,000‐30,000ペソ程度必要です。年換算すると、300,000‐360,000ペソ、日本円に換算すると95万円程度必要と言われています。
上記の年間生活費はあくまで目安であり、コンドミニアムなどの日本人向け高級住宅に住むならばさらに費用が必要になります。
ある程度グレードの高い物件に住みながら大学に通う場合、上記の生活費よりも安く費用を抑えることも可能です。健康に暮らしながら、ある程度の生活水準と贅沢をできるのが上記の年間生活費の目安になります。
フィリピンの大学でトップ校であるフィリピン大学 ディリマン校のケースを参考に紹介します。
同公式サイトの情報によると、学期ごとにかかる学費はおよそ「7,500ペソ」になっています。日本円に換算すると学期辺り、2万円程度の学費が必要になります。
学部によって学費は多少変動しますが、おおよその目安として2万円程度の学費が必要になると考えて良いでしょう。
学期ごとの学費に加えて、入学にかかる際の費用もかかるので、年間では約10万円必要と考えてください。
しかし、フィリピン大学 ディリマン校では特定の条件を満たした生徒には学費免除という制度も存在しているため、気になる方はフィリピン大学 ディリマン校の公式サイトにてチェックしましょう。
私立大学アテネ系列であるアテネオデダバオ大学のケースを参考に紹介します。
情報サイトによる年間の学費の目安は84,000‐100,000ペソ、日本円に換算すると26万円程度の費用になります。
アテネデダバオ大学は2学期制を行っており、学期ごとの学費はおよそ「40,000‐50,000ペソ」です。日本円だと13万円ほどになります。
入学金は17,000‐20,000ペソ程度になり、公立大学に比べると割高かもしれません。
支払い方法は学期ごとに3回に分けて払う形式をとっているため、1ヶ月ごとに15,000ペソ程度の学費の支払いが必要になります。
日本人を始めとした外国人留学生には、上記の費用に加えて約20,000ペソの追加料金が発生することを念頭に入れましょう。
上記で述べたように、フィリピンの大学に通う生徒達がこなす課題の量は尋常ではありません。
課題の内容もユニークな物が多く、少し頭を使わないと進めることができないものもあります。一部の大学生のような大学をサボって遊ぶという考えは基本的に通用しないと考えてください。
1人で課題をこなすにはかなり難しい量であるため、友達や知り合いと情報交換をし、助け合いながら勉強をするというのが、大学にて単位を落とさない秘訣です。
一方で、教授に課題についての相談をすると、提出期限を簡単に伸ばしてくれることが多いなど、日本の大学と違って提出期限に厳しくない面もあります。
公立大学に関しては、私服登校が大学の規則として定められているのが一般的です。しかし、私立大学に関しては制服での登校が義務付けられていることが多いです。
フィリピンで制服を着るのは暑くないのかという意見がありますが、これが意外と快適で、慣れてしまえばかなり楽なものになります。
毎日の服選びをする必要が無いのも大きなメリットと言えるでしょう。
日本の大学とは大きく異なり、入学のタイミングや大学入試に関わる時期が統一されていないのがフィリピンの大学に関する特徴の1つです。
大学によって入試や入学に関する特色が存在するため、どの大学がどの時期に入試制度を開始するというのは一概に決めることはできません。
一部のケースになりますが、公立大学の入試試験のタイミングは7月から1月に開催されることが多く、入学のタイミングは5月から7月に行われることが多いです。
私立大学の場合は入試試験は9月から2月の間に行われ、入学のタイミングが7月から8月に行われることが多いです。しかし、具体的な入試試験のタイミングは明確化されておらず、海外からの入学だと少し戸惑うかもしれません。
そのため、まずは気になる大学を決めた後、大学に直接問い合わせて入試試験と入学に関する時期を知ることが大切です。
大学のFacebookのページや公式サイトにて、そのタイミングが掲示されますが、日本からフィリピンの大学に応募する際は、最低でも1年以上前から準備することが重要になります。
フィリピンの大学は基本的にスケジュール通りに動きません。
大学で定められたカレンダーとは異なったタイミングでテストやイベントを行うことが多々あります。規律と時間を重んじる日本の風潮には嚙み合わないかもしれませんが、メリットも存在しています。
まずは、テストが行われる日に間に合うことができなかった場合、病気で出席できなかった際には教授に相談すれば基本的に別のタイミングでテストをさせてくれます。
課題などの提出期限に間に合うことができなかった場合でも、教授に理由を話せば提出を許可してくれるなどのフィリピンらしい良き一面もあります。
やり直しが効かない日本の大学のシステムとは異なり、スケジュールなどのシステムに緩い一面もフィリピンの大学の特徴です。
海外で評価を得ているIELTSのランクスコアの基準によると、IELTS「6.0」程度のレベルが、フィリピンの大学で授業に追随することのできるレベルだと言われています。
TOEICに換算すると約780点のレベル、英検に換算すると2級から準1級ほどのレベルが必要になります。
しかし、上記の英語能力はあくまでも目安であり、現地の授業内容や課題のレベルに必要という意味ではありません。
最も重要な英語能力というのは、実は「ライティング」「リーディング」に関する能力です。
これはフィリピンの大学で課される課題の量に対して、「ライティング」と「リーディング」の能力というのは極めて重要なファクターになります。
生徒の成績の評価は授業態度よりも、「課題」や「テスト」に重きを置くケースが多いのです。
リーディングの能力が低いが故に、課題に対して莫大な時間を割いてしまうことや、ライティングの能力が足りていないために、テストやレポートで評価される物が書けないということが多々あります。
スピーキングやリスニング能力も重要ですが、現地で暮らしていく内に生徒達と渡り合える程に成長することができるため、そこまで気にする程ではありません。
フィリピンの大学に通うと決めた際には、必ず「リーディング」「ライティング」の能力を鍛えて置くことを強くおすすめします。
具体的には、海外の教材の50ページに対して英語で600単語のレポート(Word 2ページ分)を書けるようになるまで練習しましょう。
フィリピンの大学に留学するメリットは、費用以外にも日本では経験できない多くの経験が獲得できるという点があります。
フィリピンの大学留学に興味を持っている方は、ぜひこの機会に考えてみてはいかがでしょうか。